4-7. 粘着末端を利用したDNAの連結
https://gyazo.com/c46126ed3d416a19ff66aa9dd02da825
https://amzn.to/2I6DMZu
1) DNAの付着と連結
制限酵素で切断されて粘着末端をもったDNA断片は、同じ粘着末端をもつDNAと末端部分でアニールするので、簡単に付着する
酵素切断後のDNA末端は5'-Pと3'-OHなので、この状態でDNAリガーゼ(DNA連結酵素)を作用させると、2つのDNAの間でリン酸ジエステル結合が形成され、両者は1つの分子となる
https://gyazo.com/ae94f654c7f58c18d6a35885adc9f676
この反応はDNAの種類によらず起こり、試験管内反応で効率よく進むが、このことが遺伝子工学の技術が拡がった最大の理由の1つ
DNAリガーゼはDNA断片連結以外にも、DNAの環状化、短い標識二本鎖DNAの連結を介するDNAの標識などで使用される
2) DNAリガーゼ反応の実際
DNAリガーゼを反応させる場合は、5'-P, 3'-OHであることが必須であり、また反応にはATPなどの補因子が必要
補因子は酵素と複合体になってDNA末端に結合する
実験では活性が高くて使いやすい、T4ファージ由来のT4ポリヌクレオチドリガーゼ(T4DNAリガーゼ)が使用される
効率は低いがDNA-RNA、RNA-RNAの連結も行う
ニックを連結するこの反応をライゲーションという
連結したくないDNA-RNAは前もってホスファターゼで脱リン酸化しておくとよい
これをセルフライゲーションの阻止という
逆に5'末端が-OHとなっている場合は、ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸基を5'末端に付加させておく必要がある
3) 同一粘着末端をもたないDNA末端の連結方法
平滑末端同士の連結
粘着末端の連結に比べて連結効率は低いが、反応させることはできる
DNA末端の安定化のため、ポリエチレングリコールなどを加えることがある
DNA末端形状の異なるDNAの連結
そのままでは連結させることはできず、以下の方策のいずれかを選択する
1. 末端を平滑末端にしてから強引にライゲーションする
2. 平滑末端にした後でリンカーライゲーションを行い、制限酵素処理の後で粘着末端ライゲーションを行う
https://gyazo.com/00bd329ca084f937b4c1d81bacb0321a
リンカー(制限酵素認識部位+わずかに余分な配列をもつ短い二本鎖オリゴヌクレオチド)は通常非常に行動に加えて反応させるため、反応はよくすすむ
合成DNAとして購入できる
使用前に5'-Pとする必要がある
3. 平滑末端にした跡、ホモポリマー合成法によって別々の末端に粘着末端をつくり、その後ライゲーションを行う
4. DNA内部を別の制限酵素で切断してから連結反応を行う
memo:ライゲーションキット
各メーカーでライゲーション様のキットが販売されている
基本的にはT4ポリヌクレオチドリガーゼが入っているが反応を進みやすくさせるメーカー独自の反応安定化・促進剤も入っている
通常4℃一晩の反応が10分程度で終わる